ツーリングの目的地は田んぼ!? バイク乗りによるお米作りプロジェクト「ライダー米」始動

Bike Life

昨年の5月に、東京から生まれ故郷の富山にUターン移住した私マツザキ。

長年、バイク雑誌を中心に編集ライターとして活動していましたが、とあるきっかけでブルーベリー栽培に興味を持ち、今は富山県でももっとも新潟に近い朝日町という町の地域おこし協力隊として農業に従事。お米づくりをメインにブルーベリーの栽培も行う農業法人で農業研修中という、2年前には想像もしていなかった暮らしをしています。

ニーハイのブーツはバイク用ではなく、じつは農作業用の長靴。長靴の老舗ブランド「ミツウマ」の今年の新作は筒の部分にネオプレーン素材を使っていてとっても軽い!エコバッグにもなるベストはワークマン。農作業のときもオシャレは忘れない(笑)。


みんなで田植え!

ところでみなさん、お米は食べてますか? 麺類やパンの方が好きって方も多いですよね? 

そう、お米の消費量は1962年のピーク時から右肩下がり、人口減少も相まって需要が減っています。それに加え、戦争などによる燃料や資材、肥料の高騰。さらには農業の高齢化。このままでは日本人の主食であるお米はどうなるんだろう……。新米農業人にできることなんて限られるけど、でも自分たちでも楽しくお米づくりができたらもっとお米に興味を持てるかも!? 

というわけで、”ツーリングの行き先は田んぼ“をコンセプトにバイク乗りによるお米づくりプロジェクト「ライダー米(まい)」を企画、GW真っ最中の5月5日に、ライダー米の田植えを実施しました。

集合場所は新潟県糸魚川市上路(あげろ)にある田んぼ。山の上の方にある田んぼは冷たくて綺麗な水が水田に流れ込むので美味しいお米ができるんです。ちなみにこの地域は「山姥の里」としても知られています。

しかし、農家さんにとって田んぼは財産そのもの。それを快くライダー米のために使っていいよと言ってくださったのは、兼業農家として新潟県糸魚川市でお米づくりをしている上原さんご一家。息子さんの祐一さんはバイク複数台を所有するライダーであり、この日はドゥカティのムルティストラーダで登場。バイク+長靴がイイ感じです!

今回のライダー米の企画に「面白そう」と賛同してくれた兼業農家の上原祐一さん。趣味はバイク、ロードバイク、スキー、登山など、とにかくアクティブ。
苗の植え方を教えてくれるのは上原さんのお父さん(中央)。「こうして3〜5本ぐらいを取って、2〜3cmぐらいの深さに植えて」と初心者のみんなにレクチャー。

今回は私個人のフェイスブックで参加者を募ったのですが、富山からは2名、東京からは2組4名、そして上原さんご家族と私の計10名で田植えを行いました。

富山市でターンテーブルを搭載したバイクガレージを展開する「T.T Factory」の代表・高田 勉さん。愛車はスズキのGSX-S 1000F。
朝日町から参加の板本健一さん。この日はカワサキ・エストレアでしたが、スズキ・ハヤブサやホンダ・CB750Fなどマニアなバイクを多数所有。
東京から参加の中村あきらさん、薫くん親子。お母さんは自動車雑誌『NAVI』の編集部員を経て現在は様々なメディアに寄稿する元ライダー。現在は薫くんと乗馬を楽しんでいるそう。
東京から参加の山本 隆さんとパートナーの麻里子さん。山本さんはBMW R nineTやカワサキ・250TRを所有。麻里子さんはこのライダー米に参加したくて二輪免許を取ったのだとか!

最初は昔ながらの手植えから。まずは等間隔に植えるために六角形の田植え枠を転がして苗を植えるためのガイドを付けていきます。

この田植え枠の+(十字になる部分)に稲を植えていきますが、腰をかがめてひとつひとつ植えていくのはなかなかの重労働(腰が痛くなる〜泣)。昔の田植えは本当に大変だったんだなと実感。

その後、手で植えるときのポイントを教わってから田んぼの中に入っていきますが、慣れていないと上手く歩けません。「長靴抜けなーいっ!」とか「ハマった〜」とかの声が聞こえる中、サクサクと田植えを進めていくのは、今回、最年少の参加者でもある薫くん。田植えの素質ありますね。

水分を含んだ田んぼの土は慣れないと本当に歩きづらい。ですが、そんな大人たちを尻目にサクサクと植え進めていくのが中学2年生の中村薫くん。若いって素晴らしい(キラキラ)。

しかし、さすがにこの広さの田んぼをすべて手で植えるのは大変(昔の人はすごかった!)。なので、後半は田植え機の登場です。「田植え機、運転してみたい人〜?」の問いにみんな「はーい!」。初心者は曲がってしまうことも多いのですが、さすがみんなバイク乗りだけあって、苗はちゃんと真っ直ぐに植えられていました。

普段はトレランで山を楽しんでいる麻里子さん、この日は手植え…..からの田植え機運転にチャレンジ。
自動車ライター・竹井あきらさんとして様々なクルマに乗ってきた中村さん。田植え機の操縦は初とのことでしたが、さすが乗り物センスが素晴らしく、後ろを見ると苗がビシッと真っ直ぐに植えられていました。

苗を田植え機まで運んだり、手植えした箇所に肥料を撒いたりと、ひと通りの作業を終えたらみんなで集合写真。ライダーと田んぼ、なかなか新鮮な組み合わせですよね。

苗を育苗箱から外す作業も体験。箱に根っこが張り付いていると意外と大変なんです(汗)。
田植え機はヤンマーの6条植えを使用。手で植えるとなかなか終わらない作業も機械を使うとあっという間。

ライダー米・田植え」どうでしたか?

♪ 昔ながらの木製の田植え定規を使った田植えは貴重な体験でした!更に古民家で囲炉裏を囲んで郷土料理のおもてなしに感動!そして楽しい会話!参加してとても良かったです。(高田 勉さん)

♪ 田植え機は苗を植えながら肥料も除草剤も同時に施せるそうです。さすがプロ仕様のマシン! 用水路の水がきれいで冷たくて、泥だらけの手足を洗いながらうっとりしました。 (中村あきらさん)

♪ 上原さんのお米がすごくおいしかったです。田植えの後、松崎さんがバイクで先導して海まで連れて行ってくれました。飛ばすなあと思いました。かっこよかったです。 (中村 薫さん)

♪ 貴重な体験ありがとうございました! 初めての田植え機ドライブにワクワクしました。 初めてお会いした皆さんともライダー同士意気投合! 和気あいあいと楽しかったです。 秋の収穫も楽しみですし、次回はバイクで行きたいな!(山本 隆さん)

♪ 米どころ新潟での貴重な手植え体験、さらにヤンマー田植え機にもライドできて最高でした。ライダー米がきっかけで大型二輪免許を取得しました!次はライダーとして参加します。(麻里子さん)

♪ なんだよ、ライダー米って。 バイクで田植え行くって? いいねえ、訳わかんなくて(笑)。 面白いじゃん。やってみようか。 からの、スタート。 いやあ、楽しかったなあ。 稲刈りも楽しみだね。(上原祐一さん)

昼食は地元食材を使ったお母さんの手料理

田植えの後は場所を移動して、上原さんのご実家である古民家での昼食。昨年秋に収穫した新米で握られたおにぎりには、富山で愛される黒とろろがまぶされています。そして、囲炉裏で焼かれるお魚や近くの山で採れた山菜を使ったお料理もどれも美味しくて箸が止まりません。

田んぼから少し離れた場所にある上原家。冬の間は深い雪に覆われるので現在は農作業の合間や集いの場所として利用しているそう。古いけれどとても丁寧に手入れされているのがうかがえる。
普段はなかなか経験できない囲炉裏を囲んでの食事。上原さんのお母さんやご家族が作ってくださったお料理はどれも美味しかった!
5月は山菜が採れる季節でもあり、テーブルの上には様々な山菜料理も並んだ。写真には写ってないけど、新米で炊いたご飯は絶品!
お天気も良く、暑すぎず寒すぎずの快適な田植え日和となりました。自分たちで植えた苗が成長し、稲穂となって稲刈り、そしてお米になるまでが楽しみで仕方ありません!

今回のライダー米プロジェクトについては、下記のフェイスブックページで生育状況や農業ネタなども発信しています。また、今年の秋(9月ごろ)にはライダー米の稲刈り体験も行う予定なので、お米づくりに参加してみたい方はFBページをチェックしてみてくださいね。
「ライダー米」 Facebookページ

バイク乗りの友人でデザイナーでもある、みやざきとみえさんにデザインしてもらったライダー米のステッカー(お米の形をしています♪)。今回の田植えに参加してくれたみなさんにお配りしました。このステッカーを貼ったバイクが日本中に増えるといいな♪

Yuko Matsuzaki

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「バイク女子部 通信」編集長、Facebook「バイク女子部」管理人。バイク雑誌「MOTO NAVI」や自動車雑誌「NAVI CARS」の編集部に約12年在...

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