二輪免許がなくても参加可能な「バイクde女子会」沖縄レポート!
(初出:Lady Go Moto! 2020.7.24 転載)
乗りたいバイクに乗るのが正義! Uターンができない、八の字走行が不安、とにかくバイクが怖い。そんな女子のための練習会が沖縄で開催されるということで、コロナ感染防止の機内マナーなどの移動に充分な配慮をしながら行ってきました。暑かった沖縄より熱いレポートをお届けします!
2020年6月28日(日)。”練習最優先”という先代の信念を受け継ぐKawasaki正規代理店の二輪ショップ「(有)アウトバン」が主催するバイク女子のための練習会「バイクde女子会」が、女性に優しい教習所を目指す「安ゲ名自動車学校」(沖縄県うるま市)にて開催されました。
同イベントは、2011年11月29日に第1回目を開催してからというもの、今回で21回目。「自分のバイクと仲良くなろう」をコンセプトに、他店購入者でも女性なら誰でも参加できるという太っ腹企画で、毎回20~30名という参加者を誇る大盛況ぶり。
目玉コンテンツは、免許がない人も参加できる無免許枠があること。免許がある人への試乗会やオフロードコースでの走行会は聞いたことがありますが、オンロードコースで体験できるというのは、めずらしいのではないでしょうか。
当日は関東から、国内外を問わず活躍するジムカーナ JAGE C1のハナ選手がゲスト講師として参加。そんな華やかな女子会イベントを、ホットにお届けいたします!
バイクde女子会タイムスケジュール
ブリーフィング。スケジュール確認と注意事項、インストラクターとハナ選手の紹介。
3~4名という少人数のグループに分かれてレッスンスタート。まずは走ってもらって話を聞く。個人ごとにその日の目標設定をして練習をするというパーソナルメニュー。このマンツーマンのようなレッスンが、人気の理由の一つ。
午後は、教習所を広く使って周回コースを設定。初心者と経験者に分かれるので、余計な遠慮は必要なく、練習に集中できる。ハナ選手は、いろいろな場所でフォローアップ。女子ならではの指導がわかりやすく、時には先導してフォームを確認。
コースを走れない間は、八の字エリアで練習も可能。走りたい人は走り、休みたい人は休むという、自由に選択できるスタイルでみなさま自分のペースで楽しまれていました。
そして、同イベントの目玉企画。免許なし者を対象にした練習会。
参加者の理由には、
・免許に通う前にバイクに乗ってみたい
・教習所に通っているけれど、上手に乗れない
・親のOKをもらうために先に乗れるようになって説得したい
・彼氏がライダーで楽しみを共有したい
などさまざま。
練習メニューは、半クラやアクセル操作は、ていねいに時間をかけて行っていました。そのあとは、バイクの引き起こしや坂道発進など、まるで教習所のようなメニュー。最後には、八の字までできるようになっているのですから、驚き。
指導がすばらしかったインストラクターのみなさま。最後は、先生たちもコースを楽しんでおられました。狭いパイロンを駆け抜けるトレイン走行は、圧巻。
練習会は、朝9時から夕方4時までとみっちりでしたが、休みなく走りっぱなしの元気女子が多い印象でした。
緊張していたのは、始めだけ。アクセル音はどんどん元気になり、みるみる上達する女子たち。帰りには、真っ黒に日焼けしたはじける笑顔が、キラキラと輝いていました。
アウトバンスタッフ城間ゆかりさん
同店は「バイクは練習してこそ楽しく乗れる」というのが大前提で、練習会が大好きだった先代であり会長の魂を現オーナーの城間操さんが受け継いでいます。
その奥様でありショップスタッフでもある城間ゆかりさんが、3人目のお子さまを出産後、バイクの免許を取得。
練習会に参加するようになると、男性ばかりで気後れするので、ご主人に「女子だけで遠慮なく走れるような練習会をやってほしい」とお願いしたところ快諾。そこから、バイクde女子会がはじまったそうです。
イラストが上手で英語も堪能。多才で気配り上手なゆかりさんのまわりには、自然と人が集まっていました。そんなイベントを切り盛りするゆかりさんに、女子会についてお話を伺いました。
—-:今まで開催したイベントの中で、一番うれしかったことは何ですか?
それはもう、怖い怖いと乗れなかった人が、クルンとUターンして走っている姿! 何度見ても、感動しますね~。
—-:それは感動ですね! でも継続は大変だと思いますが、どんな思いで女子会を続けてるのですか?
9年前、はじめて練習会を開催した時は、人が集まるか心配でした。でも、いきなり30人くらいの応募があって、私と同じように不安を抱えている女子がたくさんいることを知りました。これは需要があると感じて、その時の私のような女子のサポートをしたいと続けています。
もともと、イベントは得意なので大変とは思いませんが、私たちは、自分の好きなバイクを楽しく乗ってほしいだけなのです。
私は身長148cmですが、カワサキ・Z900RSとカワサキ・ゼファ-400という好きなバイクに乗っています。身長が低いから諦めるのではなくて、カスタムして練習すれば楽しく乗れる、それを知って欲しいと願っています。
—-:ゆかりさんは、整備もされているとか?
はい、今整備士の資格も視野に入れながら修行中です。
そのおかげで、バイクの整備をしていない女子がすごく多いことに気が付きました。実際、整備不良でトラブルが起きたり、事故や転倒を引き起こしてしまったりと、その度に悲しい気持ちになります。
大切なバイクで長く安全に楽しむためにも、整備に関して気になることがあれば、放置しないで何でも相談してほしいです。
ー確かに、安全に乗るためにはきちんとした整備が重要ですよね。最後に、スキルに自信のないバイク女子のために、メッセージをお願いします。
ぜひ、バイクを一緒に楽しみましょう! バイクは、買ってそのまま乗るのって、特に女子は難しいと思うので、信頼できるショップに相談して、手をかけて自分仕様のバイクに仕上げて、たくさん練習して。自分が一番乗りたいバイクでバイクライフを楽しんで欲しいと思います。
エビデンスは、実績。説得力のある言葉の裏には、数えきれないお客さんを笑顔にしてきた歴史の重みを感じました。こんなバイク屋さんがある沖縄のみなさまが、うらやましい!
ジムカーナ JAGE C1 ハナ選手
このイベントへの情報提供をしてくださった、ハナ選手。バイク女子や練習の楽しさを伝えることに関しては、同店に負けず劣らずの熱量をお持ちの方。
そんなハナさんが主催する関東のウミガメ練習会では、ホスピタリティあふれるおもてなしで、多くの参加者で賑わっています。このあたりは、ゆかりさんと共通するな~と感じました。
そんなハナさんに、バイク女子やジムカーナのお話を伺いました。
—-:沖縄まで、きちゃうんですね!(笑)
はい(笑) というのも私、沖縄の血が流れているんですよ~。以前から、沖縄のジムカーナ選手が熱いことは知っていたので、いつかは、行きたいと思いながらもそのままになっていました。
それが、親戚のお墓参りの帰りに、寄るなら今だと2年前に立ち寄ったところから、ご縁がつながりました。女子会が年に三回開催されていることや、そのイベントが無免許で参加可能というスタイルに感銘を受けて、今回勉強させてもらおうと参加しました。
—-:それほど上手なハナさんですが、初心者の頃の気持ちをまだ覚えているものですか?
そうですね。私は、初心者の気持ちを忘れないようにしているのです。バイクは危ないので、死にたくない=だから練習しよう、という感覚。
そしてどうせ乗るならカッコよく乗りたいじゃないですか。スキーと一緒ですよね。ボーゲンでゆっくり滑るのか、パラレルでスタイリッシュに決めるのか。同じスキーでもどこを目指す方で楽しみ方が変わってきますよね。
そして、バイクで上手になるにはどうしたらいいかと考えていたら、自然にジムカーナにたどり着きました。
—-:まさに、初心忘るべからずですね。そこで今回は初心者の方へ何を伝えたいと思いますか?
とてもシンプルで「オートバイを怖くないようにする」です。怖いという気持ちはセンサーなので、大切にしてもらっていいんです。その上で、怖いとは技術がないだけなので、怖くないように自分が合わせていけばいいだけなんですね。人馬一体。そこまでいけば怖くないわけです。
そのためには、いきなりそこを目指してもダメで、きちんと段階を踏んで、一つずつステップアップしていけば、必ず目指すところに近づきます。
そのあたりをスキルに合わせて伝えられたらと思っています。
—-:ジムカーナは、バイク上達への基本中の基本だとあらためて感じました。それでは最後に、ハナさんの今後について教えてください。
ジムカーナは、現在は待機の状態ですが、いつスタートしてもいいように、トレーニングは継続していきます。並行して、UMIGAME GP(世界中でレコードを競うトレーニング)や夏にはキャンプイベントを開催予定ですので、そちらの準備も進めています。今回とても刺激を受けたので、関東でもいろいろオモシロいことをやっていきたいですね。
GSX-R1000で参戦中のハナ選手。男性に混ざってタイムで結果を残す走りは、とにかくカッコいい。女子ライダーのすそ野を広げるべく、関東でのハナ女子レッスンに期待です!
練習が楽しくなったらバイクのおもしろさがわかってくる
バイクって、怖くないから楽しい、思い通りに操れるからおもしろい。そんなバイクの原点を教えてもらったような、イベントでした。
同店では、先代の時代から練習会をずっと開催されているようで、男性だけの漢(おとこ)会やオフロード走行にジムカーナ、毎年大分県のサーキット場へは修学旅行のようにお客さんと泊りで走りに行くのが恒例になっているとか。
バイクを売るバイク屋さんはたくさんありますが、一緒に遊んでバイクの楽しみ方を教えてくれるバイク屋さんは、なかなか出会う機会が少ないように感じます。
城間夫婦も、現在ご両親の会長夫婦が店にいてくれるので、週末にイベントが運営できているそう。その会長は、70歳過ぎても現役バリバリ練習に励まれているとのことでステキ! その年まで乗り続けることができたら、楽しいだろうな~。
バイクを買うときに、どこのバイク屋さんで買うか。あんまり深く考えていたなかったのですが、実はとても重要なのではないでしょうか? その出会いによって、バイクライフが楽しくなるとか、長く乗れるようになるとか、大きく関係するのではないかと感じたアウトバンファミリーとの出会いでした。
沖縄在住でバイクに興味のある女子のみなさま、一度立ち寄ってみては、いかがでしょうか?
最後にご紹介いただいたハナ選手、手厚いおもてなしをしてくださったアウトバンさんはじめお会いしたすべてのみなさま、本当にありがとうございました。
取材協力:
有限会社アウトバン