女性がビッグオフに乗るのは無理だと思っていませんか?「Asama Boot Camp 2020」

EVENT

(初出:Lady Go Moto! 2020.9.19 転載)

「もう、僕らは恩返しをする年齢なんで、若い子達が楽しんでくれればいいんですよね」。口コミで広がる関東のビッグオフイベント「Asama Boot Camp 2020」の主催者でモヒカンヘアーがトレードマークの村松 竜介さんは(取材に)そう話します。

今年で4回目を迎えた同イベントは、回を重ねるごとにエントリーが増え続けるという人気のビッグオフイベントです。

今年は、長引く梅雨の影響で天気予報は雨。それでもフタを開けてみれば、参加数91名(内女性ライダー10名)、参加車両101台を集めました。果たして、その人気の秘密とは?

アサマ好きのビッグオフ仲間で紡ぐ気持ちよく楽しくゆるく走れるイベント

2020年7月25日(土)~26(日)の2日間、群馬県嬬恋村にあるアサマサーキットウェイ(浅間火山レース跡地)にて「Asama Boot Camp 2020」(以下ABC)が開催されました。

ABCは、アサマのコースが好きな仲間が集まって運営しているビッグオフライダーによるビッグオフライダーのためのイベントです。

イベントのきっかけは、アサマで開催されていたビッグオフのイベントがなくなり、別のオフロードイベントでその仲間たちが再会した時のことでした。

「イベント、なくなっちゃったね~」
「あそこで走っていた若い人たちは、あのイベントがなくなったら走るところがなくなっちゃうよね。だったら、俺たちでやってみようか」

こうして同じ思いの仲間とスタートしたのが2017年。初めは、今まで走っていた上級者や仲間同士で楽しむのが目的でしたが、4回目になると状況は変わってきたと話すのは、村松さん。

「最初は、自分たちが楽しければ良かったのですが、今では、若い子やエントラントの方たちが楽しんでくれるのがいいです。自分たちの楽しみ方は変わりましたが、それでも僕らは全然不満じゃないんですよね。今までなら、ここは全開で走ったら楽しいだろうと思っていたコースも、(主催メンバーの一人)野中さんあたりが危ないじゃないかと言ってくるので、慎重さが出てくるようになりました。けが人が出てしまうと、続けられなくなってしまうので、特に安全には留意しています。

エントラントの方からは、ここに来ると珍しいバイクが見られるとか、早い人がいるから自分も走ろうって気になるとか、イベントが有名になったねとか感想をもらって、とてもうれしかったです。そして、けがもなく無事終わったのでホッとしました」

女性ライダーも参加したスキルチャレンジ

ABCでは、アサマのコースを気持ちよく走れることはもちろんのこと、他にもエントラントが楽しめるコンテンツが盛り込まれています。例えば、第1回から開催しているのは、スキルチャレンジ。決められたオフロードコースをタイムアタックするというものです。

今年からは、エキスパートライダーによる高速走行枠が、お昼時間を利用して新たに設けられました。

過去には、ナイト走行という夜走にチャレンジしたそうですが、野生の鹿と遭遇する危険やお風呂に入れないという理由で幻の1回で終わったそうです。

このように、参加しても楽しめ、見ても楽しめるようにと、スタッフ同士でバシバシと意見交換をしているそうです。こういった努力が、人気の秘密なのかもしれません。

今年のスキルチャレンジには、女性も4名チャレンジしました! 参加者全員に豪華な景品がプレゼントされました。

昨年は、数名だった女性参加者が今年は2ケタへ。来年は、倍を目指すと話していました。女性の参加者は排気量規制がないので、興味のある方は要チェックです。

アフリカちゃんと仲良くなりました

1日目と2日目とでは、みるみる走りが変わっていった女性ライダーのみなさまに2日間の感想を伺いました。

●あかねさん ホンダ・アフリカツイン
楽しかった! ズルズルすべらしてアフリカちゃんと仲良くなってどこへでも行けそうです!

●直美さん BMW・R1200GS Adventure
楽しかったです! 上手い人に教えてもらえて、普段できない練習がたくさんできました。

●かなさん ホンダ・XR250
ドロドロ走れるところが初めてだったので、楽しかったです! グチャグチャな路面でバタンバタンこけたけど、オフィシャルやエントラントの人がみな助けてくれました。走行は怖くないけど、抜かれるのはちょっと怖かったです。でもその分助けてもらえる安心感はありました。

●めぐさん BMW・F800GS Adventure
楽しかったです! GSトロフィー日本代表に教えてもらえたのは、とても貴重な体験でした。

KTM富士 アドバイザーの佐野佳奈子さんは、KTM・150XC-Wでご参加。「雨のときはドロドロになるので走らず、乾いたときに走りました」と話していましたが、自分の好きなように好きなときに走れるのもいいですよね。

筆者の経験上ですが、女性ライダーがいる店舗は、足が運びやすいと感じます。佐野さんは、オンもオフも楽しむリターンライダーとのことですので、KTM車両が気になるレディスは、富士市の店舗をぜひチェックしてください。

スキルも車両もバイク歴も違うみなさまが、思い思いに楽しまれたお話がうかがえました。

今年からは、女性専用トイレも設置され、女性への配慮を感じました。公式Twitterでは、意見募集もしていますので、女性のみなさま、リクエストされてみてはいかがでしょうか。

逆走厳禁! 誰が参加しても安全に走行できるように

重要なところをビシッと決めるジャン・レノこと影の立役者であり前出の野中 裕志さんに、全体の総括をしていただきました。

「今回はコロナの対策にかなりの神経を使いました。感染予防対策をしながら、特に密にならないようにと、メガホンではなくマイクとスピーカーの音響を整備しました。本当はもっとやりたいことはたくさんあったのですが、全然手が回りませんでした。

全体的にはグダグダでした(笑)。雨で駐車場がダメになることは予測していましたが、こんなに降るとは思っていなくて、上を使ってもそこまでスペースがないので、想定外でしたね。

内心は、30人も集まらないかもと覚悟をしていましたが、倍以上の参加者でしたので、エントラントの予測も難しいな~と感じました。

また、特に気を付けたのは、逆走です。逆走しないようにと初心者に注意をうながしても、どっちが逆走かわからないんですよね。そういう、右も左もわからない方が参加しても、安全に走れるように配慮しました。

サーキットみたいにレギュレーションがあるわけではないので、こっちに入れば間違いなくこっちに出られるようにと、わかりやすいコース作りを目指しました」

多数の参加者にもかかわらず、ケガや事故なく終えたことは、このコース作りや巡回しているスタッフの成果であることは、間違いないでしょう。

最後に、気になる今後のABCについて伺いました。

「私は、元々やりたいって言ったわけじゃなくて、村松君に巻き込まれただけなんですよ(笑)。ABCを立ち上げてどうこうしようなんて1mmもなかったのですが、村松君が、素人が主催する日本一のビッグオフ走行会にしたいって言うから、それに乗かってみるのも面白いかなって。何をもって日本一というのは、ありますけどね。

とりあえず、還暦になるまでのあと4年は頑張ろうと思っています。でも、ずっとじじいがやってちゃダメなんですよ。いつまでも体力や気力があるわけじゃないので、若手を育てないとね。

でも、関わってしまった以上、仮に私やスタッフの清水さんがいなくなっても、うまく組み立てておけば イベントが継続出来る。そうなればベストですね。

70代ぐらいに見に来たら、まだイベントがやってるよとか、いいですよね(笑)」

アサマやオフロード好きが作り上げてきたイベントは、メンバーを変え形を変えながらも、しっかりとその意思が引き継がれていました。

女性でも安全に参加できて、初心者からエキスパート級のライダーが集う貴重なビッグオフイベントABCは、予約開始からすぐに満席になる人気イベントです。

興味のある方は、今から公式ツイッターをフォローしてみては、いかがでしょうか。

■主催:ASAMA BOOT CAMP

■出展
・VeeRubber木下電機
・BONSAIMOTO
・ツアラテックジャパン
・MTXREPAIR
・厚木ハム
・コマ図練習会

■協賛
・SHARKエナジードリンク
・石原商店 うなぎ工房
・KTM厚木
・heavyenduro.jp

※順不同、敬称略

Marsha Yajima

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フリーライター&看取り士。Webメディア「女性ライダーQuest」編集長。ビーマー女子のFBグループ「WBR」管理人。バイク歴19年。自由をこよなく愛するソ...

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