【四国関西ツーリング:2章】 〜アクシデントを楽しもう〜

Bike Life

アクシデントが起きて気落ちしてしまいそうなときや、心がイガイガしてしまうときこそ自分自身に冷静になれと唱えます。大阪人の私はどちらかというと「イラチ(せっかち)」な方。言わなくていいこと言ってしまったり、感情に任せてあせって行動すると余計なミスが重なりがちです。

例えば渋滞にイライラしてすり抜けしたり、道が開けた瞬間ドンとアクセル開けてしまって危ない目に遭遇しそうになったりとか。今の状況の根元が何なのか、深呼吸して物事をさかのぼってみると、あぁ、昨日までに出発準備してなかったから朝バタバタしてこんな時間になって渋滞にハマってしまったんだ、もっと早くに出発すればよかったね、と反省できるとスッと落ち着いて大人しくなったり、横入りしてくる車にもちょっと優しくなれます。つまり物事は考え方ひとつでプラスに変えていけるはずなんです。

どんなに綿密に練った計画と予備知識があっても想定外のことは起きます。ただ同じような毎日を過ごしているのに、ありえない!と思うことが起きるのは自分の知らない世界は広いから、そういうもんなんだと思うと楽になります。!!と思うことがあったらバイクに乗っている時もそうじゃない時も冷静になって考えることは生き方を豊かにする第一歩だと思うのです。とは言っても万物を愛せる仏の心になるには永遠すぎる私は日々まずグッと堪える努力です。



さてさて待ちに待った四国関西ツーリング初日の朝。女性ライダーだけの冒険のはじまりです。

東京御一行様の飛行機の到着を待つ大阪人ふたり。トライアンフ・スクランブラーに乗る大串さんはお見送りのために来てくださいました♡
レンタルバイクたちもワクワクして待っているかのよう。

今回のツーリングで起きたアクシデントな3つ
1)祐子さんのSRのキックがかからない(車両の不具合ではなく、慣れの問題 byユウコ)
2)四国カルストに呼ばれなかった
3)電熱ウエアのトラブルもろもろ



1)祐子さんのSRのキックがかからない 

東京から飛行機で伊丹に到着した御一行様はレンタルバイク。こういうバイクの楽しみかたもあるんだと気づかされます。昔SRに乗っていたこともあって原点回帰で祐子さんが選んだレンタルバイクはキックのみのSR。レンタル819大阪国際空港店のスタッフの方々に見守られながら何の心配もなくスタート。
 

レンタルバイク左からV-strom250(香織さん)、SR400(祐子さん)、レブル250(カヨコさん)

最初のアクシデントが起きたのは給油で寄った山陽自動車道のサービスエリア。
ガソリンスタンドから出発する時にSRのキックがなかなかかからない。様子を見ていたガソリンスタンドの方が「おっちゃんがかけたろか?」と。おーありがたいわぁと思ったのも束の間、その場にいた誰もがこのおっちゃんのキックの仕方じゃかからんわ、と落胆(笑)キック疲れした祐子さんの代わりに、普段オフ練してキック慣れしている香織さんにバトンタッチ。それでも少しかかりが悪くて、外野から先ほどのおっちゃんがあーだこーだ指示する…おっちゃん、さっき自分でかけられへんかったやん(←言わんでいいこと)いや、おっちゃんの気持ちに感謝せなあかん。結局、香織さんがキック成功させました。


2度目のキックがかからなくなったのは宿泊ホテル近くの道後温泉前。あたりが暗くなって行く中、祐子さん、香織さん、カヨコさん、私と4人ルーティーンで頑張ったけれど、すでに300kmは走ったあとの女性陣のキック力ではあと一息がどうにもならない。もともと1日目の予定がタイトだったこともあり、キック頑張る組(祐子さん・香織さん)とホテルにチェックインする組(カヨコさん・私)で二手に別れることに。

キックする場所が不安定だったので少し移動して再チャレンジすることにした祐子さん。香織さんは別の場所(駐車場)にバイクを停めて祐子さんの元に行ったけれどバイクのキーを抜き忘れたかもと気づいて駐車場に戻った香織さん。

なんとステキな出会いは突然に訪れました。
香織さんはキーどころかスマホをバイクにつけたまんまだったのです!それを見つけた通りすがりのバイクで日本一周中の青年(20代イケメン←これ大事)が悪いやつに取られないように見守ってあげようと思って持ち主が戻ってくるのを待っていたそう。

なんていい青年なんだ!と嬉しすぎて震える手で撮影したからブレまくり(笑)イケメンゴメン。

何はともあれ、これはチャンス!とすかさず香織さんは青年をパパッとナンパして祐子さんのSRのもとに連れていきキック始動させることに成功。もうどうにもならないお手上げな状況だっただけに、ほんとに感謝。日本一周の彼は今どこまで行ったかな?

翌朝の出発前のキック成功の喜び満開の祐子さん。後ろに控えるのは万が一に備えて呼んだでみたら快諾して来てくれた愛媛在住の私の知人ともぞうさん。ジェントルやわぁ。

2)四国カルストに呼ばれなかった

2日目の予定は今回の四国ツーのメインと言って良い四国カルスト。計画段階では11月初旬は凍結の恐れもあるということで四国カルストを通らないルートも検討していたけれどせっかく東京から来たなら走りたいメンバー。当日は寒すぎることはなく、凍結の心配はなかったけれど、ふもとでしっとりと小雨が時折降る中、山頂はどうなっていることやら。私は以前四国カルストを走っているので、道中の荒れた道のクネクネ感を把握していたし、それがウェットな路面になっていたらリスクが高いことや、またSRのキックがかからなかった時に、こんな天気の山中だとナンパできるイケメンに出会わないかもしれない(笑)とメンバーを説得。私たちの行く手を阻む雨雲に、私は今回四国カルストに呼ばれてないんだと解釈。自然にあらがわない素直な気持ちも大切。

その代わり、冬でも食べずにはいられないという噂のユーファーム(梼原)のソフトクリームを食べに行くことに。定休日は火曜・牛の出産日(年数回)という年数回に当たらないことを祈りつつ到着。営業してましたバンザイ!

こだわりの牛から絞ったミルクのソフトクリームはとても美味。しかもおすすめの岩塩トッピングはこれまた最上級の美味!(私は岩塩おかわりしました)店主とおしゃべりしたり、ストーブで暖められた店内でまったり休憩していたら外でバイクの音が。青年(20代イケメン←2回目)が2人、私たちのバイクが並んでいるのを見てお店の存在に気づき、休憩に寄ったのだとか。彼らは広島から来ていてちょうど四国カルストを走ってきたけれど霧で真っ白、濡れた落ち葉で苦行でしかなかったそう。翌日晴れ予報だったからリベンジも検討していたけれど濡れた落ち葉が大量にあったら楽しめないので彼らの情報のおかげで潔く登らない決断ができました。超楽しみにしていたことも、時には諦めて安全を優先させる勇気、大事です。また次回四国に来るための楽しみにとっておきましょう。

そして出発の時。SRのキックがまたまたご機嫌ナナメ。昨日のことがあったのでカヨコさんが先ほどの青年をナンパしに(助けを求めに)店内へダッシュ。なんと青年のひとりの父親がSR乗りで、昔からキックで遊んでたから任せてくださいと心強い返答!一発でかけてくれて一同拍手。キックのコツ(デコンプの使い方)もレクチャーしてくれて、ほんとにほんとーに感謝!


3)電熱ウエアのトラブルもろもろと対策

■宝のもちぐされに注意:乗る時に電熱ウエアの電源ケーブルはつないでおきましょう。山の気温は変わりやすい。寒いと感じたらすぐONにできるように。必要な時に暖かくならなければただの服です。

■バイクの消費電力の把握:みんな普段は大型バイクに乗ってることもあってそこまで気にすることがなかったけれど、今回香織さんが借りたレンタルバイクは250cc。電熱ウエアの上下を同時につないだことで過電流でヒューズが飛んだらしいです。道中寒かったはずです…万が一の電熱ウエアが作動しないことも考えて、カイロを準備しておくのも大事だなと痛感。

■温度の調整:そもそも電熱ウエアの温度調整はできるのが当たり前ですが、体感はそれぞれなので自分にとってベストな電熱ウエアの着込む位置も検討しておくのも必要。ものによってはヤケドしそうなくらい熱くなるものもあるようです。走っている最中や信号待ちで操作可能だとしても、手がかじかんでいたり、グローブがゴツくてうまく調節できなかったりすることを想定してどれくらいの温度設定だったら肌着の上に着る方がよいのか、トレーナー的なものの上から着る方が暖かさがちょうどよいのか、出発前に確認しておくのをおすすめします。

電熱ウエアはここ数年でユーザーが激増したと思うけれど、まだまだ不明な点や使い方によってアクシデントも多いツール。モノだけでなくユーザー側の注意点などいろんな情報を収集して共有していきたいですね。誰かの失敗が明日の自分にも活きる、と思って。例えば宝のもちぐされになった、を今後に活かすなら「電熱つないだ?」が冬のツーリング出発前の合言葉になりそうです(笑)

私の電熱ウエアはモバイルバッテリーと車体に付けたUSBポートの両方から取れるようにしています

【ライディングギア研究】シュッとした電熱ウエアの作ってみました、はこちら


当初はSRのキックがかからない不安があったけれど、それが転じて優しい青年との出会いに繋がり、旅がより爽やかに楽しいものになりました。道中、一生懸命祐子さんがキックしてる時に、遠目で見守るひと、声かけようか迷ってる感じのひと、直接関わっていなくても人がいる(ナンパできる人を探せる笑)安心感がちょっとありました。

今日の迷言:そこのキミ、アタイたちに声かけられて幸せもンね!(助けてくださったみなさん本当に大感謝♡)

(つづく)

Tomie Miyazaki

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商業施設や百貨店の広告媒体を手掛けるデザイン事務所のグラフィックデザイナーを経て バイクパーツ関係の総合商社・メーカーで商品開発、マーケティング、クリエイテ...

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